みなさま
いつもグリーンピースのメールを読んでくださり、どうもありがとうございます。グリーンピースの高田です。
前回配信した「公共交通は赤字」メールへもたくさんの共感の声をいただきました。とても励みになっています。今回は、これまでにも多くの関心が寄せられた電気自動車(EV)についてお伝えしたいと思います。
Drive Changeキャンペーンでは、EVについて多くの議論を重ねてきました。EVは走行時の温室効果ガス排出がない一方、「製造時の環境負荷」「鉱物採掘時の環境・人権問題」「燃料となる電気は化石燃料由来」「走行距離・充電設備が不安」といった懸念があるためです。メールにも多くの疑問や不安の声をいただいています。(一部をご紹介しますね)
GHG排出抑制になるので脱炭素社会創出には必要だと思いますが、地域の活性化、ゥェルビーイング、文化やコミュニティを持続可能なモノにできるかは疑問が残ります。 製造工程でのCO2排出量が多く、逆に増えるかもしれない。 再エネ電力で充電しなければ意味がありません。 日本でEVの普及が遅れている事に危機感を感じる。 蓄電池のリサイクルが確立されているのか知りたい。 |
まずお伝えしたいのは、私たちのゴールは「今ある全てのクルマのEV化」ではありません。いつでも誰もが快適・安全に移動できる街づくりのために、徒歩や自転車や公共交通での移動を中心とした上で、持続可能な再生可能エネルギーで走る最適な数のクルマ(EV)を活用していく社会を目指すべきだと考えています。
なぜEV推奨かという理由はいくつもありますが、気候変動の視点から言えば、たとえ電源構成が化石燃料由来でも長期的にはガソリン車より温室効果ガス排出量が少ないことが国内外の研究から明らかになっているからです。
下図は各自動車のライフサイクル全体(10万キロ走行のケース)での排出量比較です。
日本の電源構成は69%※1が化石燃料由来ですが、仮に火力発電の割合が高くともEVの排出量はガソリン車より約35%少なくなることを示しています。
これはEVがバッテリーに貯めたエネルギーを90%近く動力に転換できるのに対し、ガソリン車の場合は燃料から動力へ転換されるのは最大でも5割程度という理由もあります※2。
走行時の排出がないメリットは大きいですが、EVはバッテリーの製造工程で多くのエネルギーを必要とする、という問題もあります。製造に使う電気が火力発電由来の場合、車体とバッテリー両方の製造段階を合わせるとガソリン車の製造段階よりも排出量が多くなることがあります。
だからこそEV化を進めるうえでは、再生可能エネルギーの導入も不可欠です。再エネの割合が高まればEVの製造段階や走行時の電気使用に伴う排出を大きく減らすことができます。
再エネの推進について、グリーンピースは先日、「脱炭素の名の下の乱開発に強い懸念ーーグリーンピース提言、地域社会・自然と共生する再エネの推進を」として声明を発表しています。よければこちらもぜひご覧ください。
充電ステーションや蓄電池リサイクルの問題、EVのメリットなど、まだお伝えしたい点はたくさんあるのですが、今日は気候変動の視点からガソリン車よりもEVを推奨している点をお伝えさせていただきました。
EVはまだまだ日本では普及していませんが、日常生活でクルマが手放せない方や事業者が再エネ電力とEVへの切り替えを進めることは大いに意味があることだと私は考えています。
EVは自宅など長時間駐車する場所での充電(基礎充電)がメインとなるため、車がEVになり、自宅や事業所の電力が再エネ100%もしくは再エネ率の高い電力会社に替われば、脱炭素の取り組みが広がるための確実な貢献になると考えます。(自宅の電力の切り替えについては、こちらの記事をぜひ参考にしてください。『気候危機を止めよう!アクションガイド#3パワーシフト』)
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